設備サブコンとは?管工事は年10.3兆円、うち下請が56.7%|ゼネコンとの違いを数字で見る

就職活動で建設業界を見始めると、「ゼネコン」と並んで「サブコン」という言葉が出てきます。説明会でも当たり前のように使われますが、どんな会社を指すのかを数字で説明した資料はあまりありません。

「ゼネコンの下請け」とだけ覚えると、実態を半分見落とします。設備の工事は、半分近くが発注者から直接請け負う元請の仕事だからです。

国の統計と建設業法の業種区分を使って、設備サブコンの範囲と規模を整理しました。

この記事でわかること:

  • サブコンとゼネコンの違いと、設備サブコンが受け持つ範囲
  • 中核の「管工事」は令和6年度に10兆3,157億円。そのうち下請は56.7%、元請は43.3%
  • 空調・衛生・電気が、法律上は別の業種に分かれていること

先に結論を書きます。設備サブコンは「建物の中の設備」を専門に請け負う会社です。 ゼネコンの下請けとして入る仕事が過半ですが、工場やデータセンターのように設備が主役の建物では、発注者から直接請け負う元請の仕事も増えています。

サブコンとゼネコンの違い

ビルを1棟建てるとき、発注者(施主)から建物全体を請け負うのがゼネコン(ゼネラルコントラクター、総合建設業者)です。ゼネコンは工事全体をまとめ、監督します。

そのなかの専門的な工事を受け持つのがサブコン(サブコントラクター、専門工事業者)です。空調、給排水衛生、電気などの設備工事は、多くの場合サブコンが担います。

ゼネコン 設備サブコン
請け負う範囲 建物全体 空調・給排水衛生・電気などの設備
主な立場 元請 ゼネコンの下請、または元請
強み 全体をまとめる総合力 設備の設計・施工の専門性
代表的な資格 建築施工管理技士 管工事・電気工事施工管理技士

「サブ」と付くので小さな会社を想像しがちですが、上場している空調サブコンには売上高が数千億円規模の会社もあります。

中核の管工事は10兆3,157億円

設備工事の規模を1つの数字で表す公的統計はありません。そこで、空調や給排水の配管工事にあたる建設業許可の業種「管工事」の完成工事高を目安にします。

国土交通省の建設工事施工統計によると、管工事の完成工事高は令和6年度(2024年度)に10兆3,157億円でした。

区分 金額(令和6年度) 割合
元請(発注者から直接) 4兆4,640億円 43.3%
下請(元請業者から) 5兆8,517億円 56.7%
合計 10兆3,157億円 100%

下請が半分を超えています。ビルやマンションでは、ゼネコンが建物全体を請け負い、その下で設備会社が空調・衛生を施工する形が中心だからです。

一方で、元請も4割を超えます。前年度の令和5年度は元請比率が41.6%で、令和6年度に43.3%へ上がりました。半導体工場やデータセンターのように設備が建物の主役になる施設では、発注者がサブコンに直接発注するケースがあり、その分が元請に数えられます。

5年で8.2兆円から10.3兆円に

年度 完成工事高 前年度比
令和2年度(2020) 8.20兆円 —
令和3年度(2021) 8.66兆円 +5.6%
令和4年度(2022) 8.31兆円 −4.0%
令和5年度(2023) 10.03兆円 +20.7%
令和6年度(2024) 10.32兆円 +2.8%

令和5年度に2割伸びています。ただし金額の伸びなので、資材費や人件費の上昇で請負金額が上がった分も含みます。工事の量がそのまま2割増えたわけではありません。

空調・衛生・電気は法律上は別の業種

建設業の許可は、建設業法で29の業種に分かれています。建物全体をまとめる一式工事が2つ(土木一式・建築一式)、専門工事が27です。

設備に関わるものだけを抜き出すと、こうなります。

業種 主な中身 対応する施工管理技士
管工事 空調、給排水衛生、ガス配管、ダクト 管工事施工管理技士
電気工事 受変電、照明、コンセントの配線 電気工事施工管理技士
消防施設工事 屋内消火栓、スプリンクラー、火災報知設備 (消防設備士など)
機械器具設置工事 大型の空調機・冷凍機などの据付 機械器具設置の技術者

就活で「空調・衛生系」「電気系」と分かれているのはこのためです。空調・衛生系のサブコンに技術職で入ると、まず目指す資格は管工事施工管理技士になります。

注意したいのは、管工事の統計が設備工事のすべてではないことです。大型機器の据付は機械器具設置工事に、電気設備は電気工事に数えられるので、建物の設備工事全体は10.3兆円より大きくなります。逆に管工事には、工場のプラント配管のように建物以外の配管も含まれます。

空調サブコンにも得意分野がある

同じ「空調サブコン」でも、主力の事業は会社ごとに違います。上場している主な会社を、事業の中身で並べるとこうなります。

会社 主な事業の特徴
高砂熱学工業 空調サブコンの最大手。半導体工場やデータセンターのクリーンルーム空調
三機工業 空調・給排水衛生に加え、搬送や水処理などの環境システム
大気社 空調に加え、自動車工場向けの塗装システム。海外の比率が高い
新日本空調 産業・研究施設の空調を中心とする専業
ダイダン 空調・給排水衛生・電気をまとめて手がける総合設備

非上場では、新菱冷熱工業が空調専業の大手として知られています。説明会では「どんな建物の仕事が多いか」を聞くと、配属後の現場がかなり具体的にわかります。

サブコンの施工管理は何をするのか

技術職で入った人の多くは、まず施工管理の仕事に就きます。自分で配管をつなぐのではなく、職人さんや協力会社が工事を進められるように段取りし、確かめる仕事です。

一般に施工管理の柱とされるのは次の4つです。

  • 工程管理:建物全体の工程に合わせて、設備工事をいつ、どの順で進めるかを決める
  • 品質管理:図面どおりに施工されているか、試運転で性能が出ているかを確かめる
  • 安全管理:高所や重量物を扱う作業で事故が起きないようにする
  • 原価管理:材料費と人件費を予算の中に収める

設備サブコンならではの点は、ゼネコンや建築・電気などほかの工事との取り合いが多いことです。天井裏や壁の中は、空調のダクト、給排水の配管、電気の配線が同じ空間を通ります。どれをどこに通すかの調整が、仕事の大きな部分を占めます。

資格は学生のうちから受けられる

管工事施工管理技士は1級と2級があり、それぞれ第一次検定と第二次検定に分かれます。令和6年度の制度改正で、1級の第一次検定は19歳以上なら学歴や実務経験を問わず受けられるようになりました。2級の第一次検定は17歳以上です。

第一次検定に受かると「技士補」になり、第二次検定は実務経験を積んでから受けます。令和8年度の1級第一次検定は9月6日に行われ、合格発表は10月8日でした。令和8年度の1級第一次検定の合格率は39.6%でした。受検資格の変更で何が変わったかは1級管工事施工管理技士の記事にまとめています。

よくある質問

サブコンはゼネコンより給料が低いのですか

一概には言えません。上場している空調サブコンの平均年間給与は、2026年3月期の有価証券報告書で1,000万円を超える会社が並んでいます。各社の数字と、ランキングを読むときの注意点は空調サブコン8社の平均年収を3年並べた記事にまとめています。

設備サブコンの技術職に、建築や機械以外の学部から入れますか

文理を問わずに技術職を募集している会社はあります。必須の条件は会社ごとに違うので、募集要項で「対象学部」の欄を確かめてください。

管工事と電気工事、どちらの会社を選べばいいですか

扱う設備と、目指す資格が変わります。空調や水まわりに関わりたいなら管工事、受変電や配線に関わりたいなら電気工事が中心の会社です。両方を手がける総合設備の会社もあります。

まとめ

  • 設備サブコンは、建物の空調・給排水衛生・電気などの設備を専門に請け負う会社
  • 中核の管工事は令和6年度に10兆3,157億円。下請が56.7%、元請が43.3%で、元請の比率は上がっている
  • 空調・衛生は「管工事」、電気は「電気工事」と法律上の業種が分かれ、目指す資格も変わる
  • 管工事施工管理技士の1級第一次検定は、19歳以上なら学生でも受けられる

就活で会社を比べるときは、売上の大きさより「どんな建物の設備が多いか」を見ると、入社後の仕事が想像しやすくなります。


この記事で確認したもの

対象:国土交通省「建設工事施工統計調査報告(令和6年度実績)」第2表 業種別完成工事高(管工事)、建設業法の業種区分(国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方」)、全国建設研修センターの管工事施工管理技術検定の受検資格。

時点:2026年10月22日

やったこと:管工事の完成工事高を元請・下請に分け、割合と前年度比を計算しました。令和2・3年度は集計方法の見直し後の基準でさかのぼって再集計された数値です。兆円の表は小数第2位で四捨五入しています。

書かなかったこと:設備工事全体(電気工事・機械器具設置工事を含む)の合計額は出していません。業種ごとに統計の範囲が重なるため、単純に足せないからです。各社の売上高や受注残も、この記事では扱っていません。

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