1級管工事施工管理技士の第一次検定は合格率39.6%、合格者は3年で約2倍|受検資格の変更で何が変わったか

設備(空調・衛生)の施工管理で働くなら、避けて通れない資格が管工事施工管理技士です。

合格率を調べると、1級の第一次検定は毎年4割前後と出てきます。数字だけを見ると、難易度はここ数年あまり変わっていないように見えます。

ところが合格者の人数を並べると、別の動きが見えてきます。令和8年度の1級第一次検定の合格者は10,979人で、3年前の令和5年度(5,628人)のほぼ2倍でした。合格率は同じくらいなのに、合格者が倍になっている。理由は、令和6年度に受検資格が大きく変わったことです。

国土交通省と試験機関の公表資料から、何が変わったのか、学生や新卒はいつ受けられるのかを整理しました。

この記事でわかること:

  • 令和8年度の1級第一次検定は、受検者27,740人、合格者10,979人、合格率39.6%
  • 令和6年度から、1級第一次検定は19歳以上なら学歴も実務経験も問わず受けられるようになった。受検者は3年で85%増えた
  • 新卒で施工管理に就く人が1級の第一次検定を受けられるのは、早ければ入社1年目の9月

先に結論を書きます。管工事施工管理技士は、もう「実務を何年も積んでから受ける資格」ではありません。 第一次検定は入社前後からでも受けられ、実際に若い合格者が増えています。

1級と2級、第一次と第二次の違い

管工事施工管理技士は、1級と2級に分かれ、それぞれ第一次検定と第二次検定があります。

区分合格するとなれるもの現場での役割
2級 第一次検定2級管工事施工管理技士補—
2級 第二次検定2級管工事施工管理技士主任技術者
1級 第一次検定1級管工事施工管理技士補監理技術者補佐(条件あり)
1級 第二次検定1級管工事施工管理技士監理技術者

第一次検定は知識を問うマークシートの試験で、合格すると「技士補」になります。技士補の資格は一度取れば生涯有効で、第二次検定に落ちても取り消されません。

第二次検定は、施工管理の応用力を問う記述の試験です。第二次検定に受かって、はじめて「施工管理技士」を名乗れます。

国土交通省の説明では、2級の技士は現場の主任技術者、1級の技士は監理技術者として職務を行えるようになります。大きな工事の現場には監理技術者を置く必要があるため、サブコンの施工管理として長く働くなら、目標は1級です。

合格率は横ばい、合格者は約2倍

1級第一次検定の、ここ5年の数字です。

年度受検者数合格者数合格率
令和4年度16,839人7,231人42.9%
令和5年度14,990人5,628人37.5%
令和6年度23,240人12,147人52.3%
令和7年度23,826人9,224人38.7%
令和8年度27,740人10,979人39.6%

合格率だけを追うと、令和6年度の52.3%を除けば4割前後で、難易度は変わっていないように見えます。

一方で受検者は、令和5年度の14,990人から令和8年度の27,740人へ、3年で85%増えました。合格率がほぼ同じなので、合格者もそれに合わせて増え、令和8年度は令和5年度の約1.95倍になっています。

増えたのは若い受検者

令和8年度の合格者のうち、25歳未満の割合は13.3%で、前年度の10.9%から2.4ポイント上がりました。人数にすると、10,979人の13.3%で約1,460人です。前年度(9,224人の10.9%)の約1,005人から、1年で450人ほど増えた計算になります。

20代全体では、合格者の36.1%を占めています。管工事の1級の第一次検定は、20代が3人に1人以上を占める試験になりました。

令和6年度に受検資格が変わった

受検者が増えた理由は、令和6年度から施工管理技術検定の受検資格が見直されたことです。

以前は、1級の第一次検定を受けるにも、最終学歴と学科に応じた実務経験の年数が必要でした。指定学科以外を卒業した人ほど、長い実務経験を求められる仕組みです。

新しい制度では、こうなりました。

検定新しい受検資格
1級 第一次検定19歳以上(受検年度の末日時点)
2級 第一次検定17歳以上(受検年度の末日時点)
1級 第二次検定1級第一次合格後、次のいずれか:実務経験5年以上/特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上/監理技術者補佐としての実務経験1年以上
2級 第二次検定2級第一次合格後に実務経験3年以上、または1級第一次合格後に実務経験1年以上

第一次検定は、年齢だけで受けられるようになったのが最大の変化です。学部や学科による差もなくなりました。

なお、令和10年度までは経過措置として、旧制度の受検資格で受けることもできます。

「特定実務経験」とは

1級第二次検定の受検資格に出てくる特定実務経験は、一定額以上の大きな工事で、監理技術者や主任技術者の指導を受けながら(または自分がその立場で)施工管理をした経験のことです。大きな現場に早く配属されるほど、第二次検定を早く受けられる仕組みになっています。

新卒はいつ受けられるか

新卒で施工管理に就く人の場合、いちばん早い流れはこうなります。

  1. 入社1年目の9月:1級第一次検定を受ける(19歳以上なら受検できる)
  2. 10月の合格発表:受かれば1級管工事施工管理技士補になる
  3. 合格から実務経験を積む:特定実務経験を含めて3年、または5年
  4. 1級第二次検定を受ける:受かれば1級管工事施工管理技士

大きな現場に配属されて特定実務経験を積めれば、第一次合格から3年後に第二次検定を受けられます。

学生のうちに受けることもできます。1級の第一次検定は年1回、例年9月です。令和8年度の日程は次のとおりでした。

区分試験日申込受付合格発表
1級 第一次検定9月6日5月7日〜21日10月8日
1級 第二次検定12月6日5月7日〜21日令和9年3月3日
2級 第一次検定(前期)6月7日3月4日〜18日7月7日
2級 第一次検定(後期)11月15日7月14日〜28日令和9年1月5日
2級 第二次検定11月15日7月14日〜28日令和9年3月3日

申込は試験の4か月ほど前で、受付期間は2週間ほどしかありません。1級を受けるなら、5月の申込を逃さないことが一番の注意点です。令和9年度の日程は、まだ公表されていません。

1級と2級、どちらから受けるか

新しい制度では、2級を飛ばしていきなり1級の第一次検定を受けられます。

合格率だけを見ると、2級の第一次検定は令和7年度で61.1%と、1級(38.7%)より高めです。ただ、2級の第一次検定に受かっても、それだけで1級の受検資格が早まることはありません。1級の第二次検定に必要なのは「1級の第一次検定に合格してからの実務経験」だからです。

一方で、1級の第一次検定に受かると、そこから実務経験1年で2級の第二次検定を受けられます。1級第一次の合格が、2級の技士への近道にもなる仕組みです。

1級を目指すなら、はじめから1級の第一次検定を受けるのが、資格の流れとしては効率的です。どちらを先に受けるよう勧めるかは会社によって違うので、入社後は会社の方針も確かめてください。

第一次検定の合格基準

1級の第一次検定は、全体の得点が60%以上で、そのうち施工管理法(応用能力)の得点が50%以上なら合格です。令和8年度は、60問中36問以上の正解と、応用能力8問中4問以上の正解が必要でした。

2級は、第一次・第二次とも得点60%以上が合格基準です。同じ日に第一次と第二次を受けた場合、第一次が基準に届かないと第二次は採点されません。

国土交通省は、試験の実施状況によって基準を変える可能性があるとしていますが、原則は合格率で調整する試験ではなく、基準点を超えれば合格する試験です。受検者が増えても、それだけで合格のハードルが上がるわけではありません。

よくある質問

工学系の学部でなくても、1級の第一次検定を受けられますか

受けられます。令和6年度からの新しい受検資格では、第一次検定は年齢だけが条件で、学部や学科は問われません。

第一次検定に受かれば、すぐ現場で役に立ちますか

1級の技士補は、主任技術者になれる資格(2級の管工事施工管理技士など)とあわせて持てば、監理技術者補佐として現場に置けます。技士補だけで監理技術者や主任技術者になれるわけではありません。

第二次検定に落ちたら、第一次検定から受け直しですか

受け直す必要はありません。技士補の資格は生涯有効なので、次の年からは第二次検定だけを受けられます。

まとめ

  • 令和8年度の1級管工事施工管理技術検定・第一次検定は、受検者27,740人、合格者10,979人、合格率39.6%
  • 合格率は4割前後で横ばいだが、合格者は令和5年度から約2倍。25歳未満の合格者も1年で約450人増えた
  • 令和6年度から、1級第一次検定は19歳以上なら学歴・実務経験を問わず受けられる
  • 新卒なら、最短で入社1年目の9月に1級第一次検定を受けられる。申込は5月で、受付は2週間ほど

管工事施工管理技士は、入社してから何年も待って受ける資格ではなくなりました。第一次検定を早めに取っておくと、第二次検定までの実務経験の時計を早く動かせます。設備サブコンの仕事の範囲は設備サブコンとは?にまとめています。


この記事で確認したもの

対象:国土交通省「令和8年度管工事施工管理技術検定の実施について」「令和8年度技術検定の合格基準について」「令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります」、令和8年度1級管工事施工管理技術検定・第一次検定の合格発表(全国建設研修センターの公表数値を掲載した各社の発表ページ)。

時点:2026年10月22日

やったこと:1級第一次検定の令和4〜8年度の受検者数・合格者数を並べ、合格率と、令和5年度から令和8年度にかけての増加率を計算しました。25歳未満の合格者数は、公表されている割合(令和8年度13.3%、令和7年度10.9%)に合格者数を掛けた概算です。

書かなかったこと:令和8年度の受検者数は、資料によって27,740人と27,749人の2通りの記載があり、複数の資料で一致した27,740人を採りました。令和9年度の試験日程は未公表のため書いていません。旧制度の受検資格の細かい年数は、令和10年度で使えなくなるため省いています。2級の令和8年度の合格率は、前期・後期がそろっていないため載せていません。

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