社労士の通信講座を「合格率の分母」で比較した|63.0%と63.16%は同じ数字ではない

社労士試験・講座

※本記事にはプロモーションを含みます

社労士の通信講座を調べていると、合格率63%という数字に何度も出くわします。

フォーサイトが63.0%、スタディングが63.16%。

並べるとほとんど同じです。でも、この2つは同じ人たちを母数にした数字ではありません。どちらも公式に注記があり、読むと分母がまるで違います。

講座の良し悪しを決めるつもりはありません。各社が公表している数字と料金を、公式サイトで確かめられた範囲で並べます。

この記事でわかること

  • 「合格率63%」の分母に何が書かれているか
  • 月1,078円の講座と27万円の講座が、そもそも別の役割であること
  • 合格発表のあと、講座をどう決めるかの判断材料

合格率は、講座を比べる物差しになりません。分母の決め方が各社でばらばらだからです。比べるなら、料金、給付金の対象かどうか、落ちたときの扱い。条件が文章で書かれている項目のほうが頼りになります。

「合格率63%」の分母を読むと、数えている人が違う

社労士試験そのものの合格率は、各社の数字と同じ令和7年度(第57回)で5.5%でした(受験43,421人、合格2,376人)。2026年10月1日に発表された第58回(令和8年度)は9.3%(受験42,510人、合格3,961人)で、年によって大きく動きます。この数字を頭の片隅に置いておいてください。

フォーサイトは合格率63.0%(2025年実績)を掲げ、その下にこう注記します。「確認テスト・学力テストの条件を満たした受講生のうち、受験番号を提出した合格者数で算出」。

スタディングは63.16%。こちらは「カリキュラム修了者」を対象とした数字で、その定義も公式に明記されています。受験および成績調査アンケートに回答した人のうち、合格コースを受講し、直前対策答練を80%以上完了し、さらに合格模試で選択式40点満点中24点以上・択一式70点満点中42点以上を取った受講生。

整理すると、どちらも試験直前に一定の実力へ届いていた受講生だけを、アンケート回答者の中から数えた数字です。隠しているのではなく公式にそう書いてあります。ただランキング記事が数字だけを抜き出すと、この前提が落ちます。

残る2社。ユーキャンは合格率ではなく「過去10年間で1,483名」という人数を出し、これも受講生アンケートに基づく数だと明記。アガルートはトップページには合格率を載せていません。ただ合格実績のページまで進むと「令和7年度合格率29.45%」とあります。

付いている注記は「※有料受講生の合格実績」の一文だけでした。何人のうち何人が受かったのか、アンケートに答えた人だけを数えたのかは書かれていません。

4社のうち、そのまま比較できる合格率を出しているところはひとつもありません。

月1,078円と27万円を、同じ表に並べてはいけない

料金の幅も相当です。オンスク.JPは月1,078円(税込、ライトプラン)から。アガルートは入門カリキュラムのフルが税込235,620円、中上級のフルが税込275,220円です(2027年合格目標、セール適用後)。

200倍以上の開きがあるものを「通信講座」でひとくくりにすると、判断を誤ります。

オンスクの社労士講座は講義動画が全107回で約15時間、練習問題が408問。公式には「※当講座は社会保険労務士入門編講座です」と自己申告があります。約15時間を選択式の8科目で割ると1科目1.9時間。数字と「入門編」の表記はきれいに整合しています。

安い講座、というより役割の違う教材です。数十万円のカリキュラムに踏み込む前に、判断の材料をつくるための道具と考えたほうがしっくりきます。

独学に要る教材の量は社労士の独学テキストは何冊必要か、オンスクの中身はオンスク.JPの社労士講座で書きました。

オンスク.JPの無料体験は期間の制限がなく、勝手に有料へ切り替わることもないと公式サイトに書かれています。月1,078円を払う前に、講義との相性だけ確かめられます。

オンスク.JPの無料体験を見る

給付金の対象かどうかで、負担額は変わる

表示価格を見比べても、実際に払う額はそろいません。一般教育訓練給付金の対象かどうかで差が出るからです。

公式に対象と書かれていたのは、ユーキャンの一括79,000円(WEB決済限定の割引で税込74,000円)と、フォーサイトのバリューセット1(78,800円)から上。同じフォーサイトでも、基礎講座59,800円には表記がありませんでした。

支給要件は雇用保険の加入期間などで決まり、講座側では判断できません。申込前にハローワークで確認しておくと、実質負担で比べられます。

アガルートは対象が10講座中2つで、しかも合格特典と選択制です。どちらを取るかの分岐点は社労士講座の給付金はいくら戻る?対象2講座と、全額返金との分岐点20%で計算しました。

合格率の分母を書かないアガルートが、代わりに細かく書いているもの

アガルートの29.45%は分母がわからず、ほかの3社と横に並べられません。その代わり細かく文章で書かれているのが、合格特典の条件です。数字で比べられないなら、こちらを読むほうが早い。

2027年合格目標のカリキュラムで合格すると、お祝い金3万円か、受講料の全額返金が受けられます。対象は入門・中上級・上級のフル3つだけ。ライト版、単体講座、キックオフ社労士は対象外と書かれています。

料金は2027年合格目標・10%OFF適用後で、基礎講義&入門総合講義が税込97,020円、入門カリキュラム/フルが税込235,620円、中上級カリキュラム/フルが税込275,220円。カリキュラムは択一式の得点で分かれていて、30点に届かなかった人は入門、30点以上は中上級、35〜40点は上級という区切りです。成績通知が届いたら、教材を選ぶ前に自分の得点を見るほうが早いです。

今年受験した人向けの受験経験者割引10%OFF、別の予備校から移る人向けの他校乗換割引20%OFFも掲載されています。一般教育訓練給付金の対象カリキュラムもありますが、給付金を申請すると合格特典は使えません。申込時にどちらかを選ぶ必要があります。

教材はフルカラーのテキストが手元に届き、講義は全編オンライン配信です。最短10分からの受講相談と、資料請求による無料体験が用意されています。

なお全額返金には条件が3つあり、返ってくるのは税抜価格です。「実質0円」と紹介されることが多い制度ですが、対象講座と条件を読んでから決めたほうが、あとで計算が狂いません。

アガルートの社労士講座と割引条件を公式サイトで見る

この比較でわからないこと

料金は時期で動きます。9月にはスタディングが9月30日までの割引を出していて、アガルートはいま10月29日までの10%OFFセールを表示しています。数字はすぐ古くなります。回避策は単純で、申し込む直前に公式の料金ページを自分で開くことです。

分母の人数は出ていません。定義は書いてあっても、何人中の何人かはわからない。順位をつけたいなら、落ちたときの扱いや給付金の対象かどうかなど、条件が文章で書かれている項目で比べるしかありません。

講義の総時間を出していない会社があります。オンスクは約15時間と書いていますが、他社はコースごとの説明どまり。1時間あたりの値段を出そうにも、割る数がありません。無料体験でサンプルを1本見て、1コマの長さを確かめるのが近道です。

教材の中身は評価していません。このサイトの運営者は社労士の資格を持っておらず、これらの講座も受けていません。書けるのは、公式の数字と条件を確認日つきで並べるところまでです。

公式サイトで確認できた条件の一覧

講座料金(税込)公表している実績給付金・不合格時
オンスク.JP月1,078円/1,628円。一括9,471〜18,557円講義107回・約15時間、408問。「入門編講座」と明記入会金0円
スタディング44,400〜72,400円(9月時点の割引価格)合格率63.16%(カリキュラム修了者)、2025年353名記載を確認できず
フォーサイト59,800〜133,800円合格率63.0%(条件付き算出)VS1以上が給付金対象。VS3は全額返金の制度あり(条件あり)
ユーキャン79,000円(WEB決済74,000円)10年で1,483名(アンケート回答ベース)給付金対象。標準7ヵ月
アガルート97,020〜275,220円(2027年目標・セール後)合格率29.45%(令和7年度・有料受講生。分母の記載なし)合格特典あり

数字はほぼ同じでも、分母の定義が違う

フォーサイト 63.0%|確認テスト等の条件を満たした受講生のうち、受験番号を提出した合格者

63.0%

スタディング 63.16%|カリキュラム修了者かつ成績アンケート回答者

63.16%

どちらも試験直前に一定の実力へ届いていた受講生だけを対象にした数字です。社労士試験そのものの合格率は、同じ年度で5.5%です。

2026年9月7日に各社公式サイトで確認した表示です。コース数の多い社は下限と上限を取りました。

「全額返金」は2社で向きが逆

いまの一覧に「全額返金」が2回出てきます。アガルートとフォーサイトです。ただ、この2つは同じ制度ではありません。

アガルートの全額返金は合格したときに適用されます。フォーサイトの全額返金保証制度は不合格だったときです。向きが正反対です。

比較記事では「全額返金あり」の一行で並ぶので、同じ制度に見えます。それぞれの公式ページで条件を開くと、中身はこう違います。

項目アガルートフォーサイト
適用されるのは合格したとき不合格だったとき
対象フルカリキュラム3種バリューセット3のみ
戻る金額税抜価格のみ支払った受講料(送料と分割払い手数料は除く)
受講中の条件なし確認テストすべてで100点、学力テストで上位11%以内
本試験の条件合格合格最低点+1点以上、かつ基準点割れが2科目以下
提出するもの合格通知書・合格体験記・合格者インタビュー出演本人確認書類と、合格発表後14日以内の試験結果通知書
教育訓練給付金併用できない返金対象になると取り下げ

フォーサイト側は「落ちたら戻る」ではありません。確認テストで全問100点を取り、学力テストで上位11%に入り、本試験で合格最低点+1点以上を取って、それでも不合格だった場合です。基準点割れも2科目までに収まっている必要があります。

アガルート側は税抜価格が戻る形なので、消費税分は残ります。入門カリキュラム/フルなら235,620円を払って214,200円が戻り、差額の21,420円は戻りません。

どちらも本試験を受けなかった年は対象外です。名前が似ているだけで、狙える条件は別物と考えたほうがよさそうです。

合格発表のあと、講座をどう決めるか

第58回の合格発表は2026年10月1日にありました。合格率は9.3%、合格基準点は選択式25点・択一式47点です(厚生労働省)。

落ちていた場合に見るのは、科目別の基準点です。社労士試験は総得点と科目ごとの基準点の両方で判定され、1科目でも届かなければ総得点に関係なく不合格になります。どちらで落ちたかで、来年の配分が変わります。

講座側はすでに2027年合格目標を売っています。アガルートの10%OFFセールは10月29日までです。

迷っているあいだにも、試験までの日数は減っていきます。始めるのをひと月遅らせると1日あたり約20分増える計算は社労士の勉強はいつから始めるかに書きました。

発表前に申し込めたアガルートの早期スタート安心制度は、9月30日で受付が終わりました。

ひとつだけ順番を間違えやすいところがあります。アガルートの割引は購入前に申請する決まりで、購入後は受け付けられません。クーポンの発行に2営業日かかるとされているので、先に決済すると割引が消えます。受験経験者割引は10%で、セール価格からさらに引かれます。入門カリキュラム/フルなら2万円以上の差です。

締切と割引の条件はアガルートの公式ページで確認できます。割引を重ねたあとの金額は社労士試験に落ちたら何からで計算しました。

よくある質問

合格率が高い講座を選べばいいですか

分母の定義が各社で違うため、そのまま比べられません。数字の下の注記を読み、誰を数えた数字なのかを見るほうが安全です。

月1,000円台の講座だけで合格できますか

オンスクは公式が「入門編講座」と明記しています。講義は約15時間、8科目に割ると1科目1.9時間。全体像の把握や独学の補助という位置づけです。

働きながらでも進められますか

直近の合格者のうち会社員が59.9%を占めます。ただしこれは働きながら受かった人が多いという事実で、学習量が減る話ではありません。

無料体験は使ったほうがいいですか

講義の総時間を公表していない社があるため、実物を見るのが早いです。サンプルを1本見れば、料金の妥当性を判断できます。

落ちた年の教材選びについては割引6種類の使い分けを整理した記事に、独学で必要な教材量はテキストは何冊必要かを確認した記事にまとめています。

第58回の合格基準点と過去5回の動きは第58回の合格基準点と合格率にまとめました。

まとめ

  • フォーサイト63.0%とスタディング63.16%は分母の定義が違う。並べて優劣はつけられない
  • 月1,078円のオンスクは公式が「入門編」と明記。数十万円の講座とは役割が別
  • 給付金の対象かどうかで実質負担が変わる。申込前にハローワークで確認する

数字は各社が自分の基準で出したものです。読む側が分母を確かめる。手間はかかりますが、そこが一番効きます。

合格後の収入は社労士の年収で扱っています。

この記事で確認したもの

対象:オンスク.JP・スタディング・フォーサイト・ユーキャン・アガルートの公表する合格率と料金、およびアガルートとフォーサイトの全額返金に関する公式の条件

時点:2026年9月7日(アガルートの料金・特典・割引は9月11日、フォーサイトの全額返金保証制度は9月14日に再確認、アガルートの早期スタート安心制度と合格実績ページは9月25日に確認。第58回の結果は10月3日に追記)

やったこと:各社が出している合格率の下にある注記を読んで、何を分母にしているかを並べました。数字そのものではなく、算出条件のほうを比べています。料金は各社の公式料金ページの表示額です。

書かなかったこと:この記事の「この比較でわからないこと」に書いたとおりです。分母の実人数、講義の総時間、教材の中身。いずれも公表されていないか、受講しないと判断できません。


※記事内の数値は2026年9月7日時点で、オンスク.JP・スタディング・フォーサイト・ユーキャン・アガルートの各公式サイト、および社会保険労務士試験オフィシャルサイトで確認したものです。アガルートの料金・合格特典の適用条件・割引制度については、2026年9月11日に公式サイトの講座一覧および合格特典ページで再確認しています。料金やキャンペーンは変更されることがあります。申込前に必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。

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