社労士の職務経歴書で落ちる人には、共通点があります。
仕事を言葉で書いて、数字で書いていないことです。
社会保険手続きを担当、給与計算を経験。これだけでは、採用する側は何も判断できません。
この記事でわかること
- 採用側が最初に探している3つの数字
- 1号・2号・3号業務の書き分け方
- 実務未経験の場合に何を書くか
なぜ数字が必要なのか
社労士事務所の採用担当が見ているのは、入社後にどの規模の顧問先を任せられるか、です。
言葉だけの職務経歴書では、そこが読み取れません。読み取れない応募者は、読み取れる応募者の後ろに回されます。
有効求人倍率が0.85(厚労省 job tag、令和7年度)という市場です。選ばれる側である前提で、判断材料を渡す必要があります。
書くべき3つの数字
1. 給与計算の人数規模
給与計算を担当、で終わらせず、何名分を何年と書いてください。
- ❌ 給与計算業務を担当
- ⭕ 従業員300名規模の給与計算を3年間担当(月次・賞与・年末調整)
30名の会社と3,000名の会社では、業務の性質がまったく違います。規模が書かれていない経歴は、少ない側で見積もられます。
複数社を担当していたなら、社数と合計人数の両方を書いてください。
2. 顧問先の社数と規模
事務所勤務の経験がある場合、ここが最も見られます。
- ❌ 複数の顧問先を担当
- ⭕ 顧問先15社(従業員10〜200名規模)を主担当として対応
事業会社出身なら、自社の従業員数と、担当した範囲(全社か、特定事業所か)を書きます。
3. 使用した給与計算ソフトの製品名
意外と書かれていませんが、採用側が確認したい実務情報です。
給与奉行、freee人事労務、マネーフォワード クラウド給与、SmartHR、ジョブカン。使ったことがあるものは製品名で書いてください。
事務所ごとに使っているソフトは決まっています。同じソフトなら、すぐ戦力になる人だと見られます。
業務範囲は1号・2号・3号で書き分ける
社労士の業務は、法律上こう分かれます。書類の上で分けて書くと、経験の中身がくっきり見えます。
| 区分 | 内容 | 書類での表現例 |
|---|---|---|
| 1号業務 | 申請書等の作成・提出代行 | 社会保険・労働保険の資格取得/喪失、算定基礎届、年度更新 |
| 2号業務 | 帳簿書類の作成 | 就業規則の作成・改定、労働者名簿、賃金台帳 |
| 3号業務 | 相談・指導(コンサルティング) | 労務相談対応、人事制度設計、ハラスメント対応の助言 |
3号業務の経験があると、年収の幅が上がります。1号・2号は型にはまりやすく、差がつきにくいからです。
少しでも3号業務に関わったなら、項目を分けて書いてください。就業規則の改定を提案した、くらいの経験でも書く意味があります。
よくあるNG例と改善例
NG
社会保険労務士法人にて、社会保険手続き、給与計算、労務相談を担当。幅広い業務に対応しました。
読み手に伝わる情報がほぼありません。規模も期間も範囲もわかりません。
改善
社会保険労務士法人○○にて、顧問先12社(従業員20〜150名/製造業・小売業中心)を主担当。
・給与計算:合計約600名分の月次処理、賞与・年末調整(使用ソフト:給与奉行クラウド)
・1号業務:資格取得喪失、算定基礎届、労働保険年度更新
・2号業務:就業規則の改定を年間3〜5社対応
・3号業務:ハラスメント相談への一次対応、労務相談の窓口
同じ経歴でも、判断できる書類になります。
実務未経験の場合に書くこと
資格はあるが実務経験がない場合、書けるものがないと思いがちですが、隣接する経験は多くの人が持っています。
- 前職での社会保険手続き(入退社の対応件数)
- 勤怠管理システムの運用(製品名まで)
- 年末調整の対応(何名規模か)
- 労務に関する社内問い合わせ対応
「社労士業務の経験はありません」と書く代わりに、隣接経験を翻訳して並べてください。
資格についても、受かった事実に加えて、どの科目に手応えがあったかまで書けます。労働基準法に強いのか、社会保険の各法に強いのか。事務所ごとに仕事の比重が違うので、ここが噛み合うと見る目が変わります。
未経験からの進め方は実務未経験からの転職について書いた記事で詳しく書きました。
志望動機で差がつく箇所
職務経歴書の本体より短いのに、差がつくのはここです。
避けたい書き方は、社労士としてのスキルを活かしたい、専門性を高めたい、といった一文です。
どの応募先にも当てはまる文章は、読み飛ばされます。
伝わる書き方は、応募先の業務範囲に触れることです。
- 顧問先の業種構成に言及する(「製造業の顧問先が多い点に関心があります」)
- 3号業務の比重に触れる(「コンサルティング領域まで扱える環境を希望しています」)
- 事業会社なら、その会社の人事課題に触れる
そのためには、事務所ごとの実情を知る必要があります。 求人票には書かれていないため、エージェント経由で聞くのが現実的です。
エージェントの選び方は特化型と総合型を求人数から比較した記事にまとめています。
提出前チェックリスト
送る前に、この5項目を確認してください。
- [ ] 給与計算の人数規模が書かれているか
- [ ] 顧問先の社数と従業員規模が書かれているか(事務所経験がある場合)
- [ ] 使用したソフトの製品名が書かれているか
- [ ] 1号・2号・3号が区別して書かれているか
- [ ] 顧問先の社名を書いていないか(守秘義務)
1項目でも埋まっていないなら、そこが書類選考で減点される箇所です。埋められない項目があるなら、代わりに何を書けるかを考えてください。
よくある質問
Q. 職務経歴書は何枚が適切ですか?
A4で2枚以内が目安です。3枚を超えると、要点が埋もれます。
Q. 顧問先の会社名は書いていいですか?
書かないでください。守秘義務の観点から、業種と規模の記載にとどめます。社名を書いてしまう応募者は、情報管理の面で懸念を持たれます。
Q. 職務経歴書はエージェントに添削してもらえますか?
多くのエージェントが対応しています。ただし社労士業務を知らない担当者だと、表面的な指摘にとどまります。
Q. 未経験でも3号業務のことを書くべきですか?
経験がないなら書かないでください。書類と面接で矛盾が生じます。
書類が通ったあとの初回面談で何を伝えるかは、伝えるべき5項目をまとめた記事に整理しました。ここで渡す情報の精度が、以後届く求人を決めます。
まとめ
- 給与計算の人数規模、顧問先の社数と規模、使用ソフトの製品名。この3つを数字で書く
- 1号・2号・3号で書き分ける。3号業務の経験は独立した項目にする
- 未経験なら、隣接経験を翻訳して並べる
書類で落ちる理由の多くは、経験が足りないからではありません。経験が伝わっていないからです。
この記事で確認したもの
対象:社労士職の求人に書かれている応募要件/社労士職の有効求人倍率
時点:2026年8月28日
やったこと:求人票の応募要件から、採用側が数字で見ている項目を抜き出しました。倍率は job tag のハローワーク求人統計データ(令和7年度)です。
書かなかったこと:書類選考の通過率。エージェント各社とも公表していません。この記事の書き方をすれば通過率が上がる、と示せる根拠はありません。
※有効求人倍率は厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)のハローワーク求人統計データ(令和7年度)にもとづき、2026年8月28日時点で確認したものです。

