社労士の求人は都市部に多い。
よく聞く話ですが、どのくらい偏っているのかを数字で書いた記事は見当たりません。
そこで、社労士特化型の求人サイトに載っている全求人を、勤務地別に数えました。
結果は、思っていたよりはっきり出ました。
この記事でわかること
- 求人355件が、どの都道府県に何件あるか
- 求人が1件もない県が何県あるか
- 関東なら年収が高い、が成り立たない理由
355件のうち235件が東京都でした。そして26県は0件。
求人355件の勤務地別内訳
社労士JOBの掲載求人をエリアで分類した結果です(2026年8月29日時点)。
| エリア | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 関東 | 267件 | 75.2% |
| 近畿 | 39件 | 11.0% |
| 中部 | 21件 | 5.9% |
| 九州・沖縄 | 17件 | 4.8% |
| 北海道・東北 | 10件 | 2.8% |
| 中国 | 1件 | 0.3% |
| 四国 | 0件 | 0% |
| 合計 | 355件 | – |
47都道府県のうち26県は、求人が1件もない
上位5都府県で314件。全体の88.5%がここに集中しています。
関東だけで4分の3です。四国はゼロでした。
都道府県別に並べると、26県が0件
同じ求人を都道府県で分けます。1件以上あったのは21都道府県だけでした。
| 都道府県 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 東京都 | 235件 | 66.2% |
| 大阪府 | 35件 | 9.9% |
| 神奈川県 | 17件 | 4.8% |
| 愛知県 | 15件 | 4.2% |
| 福岡県 | 12件 | 3.4% |
| 千葉県 | 8件 | 2.3% |
| 埼玉県 | 6件 | 1.7% |
| 北海道・静岡県 | 各5件 | 各1.4% |
| 宮城県・京都府 | 各3件 | 各0.8% |
| 沖縄県 | 2件 | 0.6% |
| 岩手・福島・群馬・福井・兵庫・岡山・熊本・大分・宮崎 | 各1件 | 各0.3% |
| その他26県 | 0件 | 0% |
東京都だけで66.2%。上位5都府県(東京・大阪・神奈川・愛知・福岡)で314件、全体の88.5%を占めます。
残りの41件を、42道府県で分け合っている計算です。
社労士の数と求人の数がねじれている
では、求人が少ない県には社労士も少ないのか。ここを確認すると、話が変わります。
全国社会保険労務士会連合会の登録データ(2025年3月31日現在)と突き合わせました。
| 会員数 | 全国シェア | 求人シェア | |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 12,217人 | 26.4% | 66.2% |
| 求人0件の26県 合計 | 8,929人 | 19.3% | 0% |
東京都の会員シェアは26.4%です。それに対して求人シェアは66.2%。会員の比率の2.5倍の求人が東京に集まっています。
一方、求人0件だった26県には、合わせて8,929人の社労士が登録しています。全国の約2割です。
たとえば広島県は会員857人、鹿児島県は439人。どちらも求人は0件でした。人がいないから求人がないのではありません。求人だけが東京に寄っています。
「関東なら年収が高い」は成立しない
地域差の話になると、次は年収です。
求人ボックスの給料ナビで、地域別の平均年収を確認しました(2026年7月算出)。
| 地域 | 平均年収 | 全国比 |
|---|---|---|
| 北海道・東北 | 470万円 | -3% |
| 近畿 | 458万円 | -5% |
| 関東 | 441万円 | -9% |
| 中部・北陸 | 427万円 | -12% |
| 中国・四国 | 411万円 | -15% |
| 九州・沖縄 | 392万円 | -19% |
| 全国 | 484万円 | – |
関東は441万円。全国平均の484万円を下回っています。
求人の75%が集まっている関東が、平均年収では全国平均以下という結果です。
都道府県で見ると理由がわかります。東京都は521万円(全国比+8%)ですが、埼玉県454万円、神奈川県447万円、千葉県434万円、群馬県398万円、茨城県392万円と、東京以外はすべて全国平均を下回っていました。
高いのは関東ではなく、東京都だけです。年収の数字が出典でどれだけ動くかは出典で2倍以上違う理由を分解した記事で書いています。
145万円の地域差は、そのまま受け取れない
同じ給料ナビには、都道府県別の最高と最低も載っています。
最も高いのが宮城県の502万円、最も低いのが鹿児島県の357万円。その差は145万円です。
ただ、この数字には注意書きがついています。「求人件数の少ない都道府県は集計対象外」という一文です。
掲載されている都道府県別の年収も、少ない求人から出した数字だと考えられます。実際、最低値だった鹿児島県は、今回数えた求人では0件でした。
地域別の年収は、傾向をつかむ材料としては使えます。ただ、自分の年収の見込みとして使うには母数が心もとない、と考えたほうが安全です。
地方在住ならどう動くか
求人が0件だったからといって、転職できないわけではありません。数字を踏まえた対処は3つあります。
1. 特化型だけで判断しない
特化型サイトの求人が0件でも、総合型には地元の求人が載っている場合があります。特化型は社労士事務所と首都圏の求人に強く、地方の一般企業の人事求人は総合型のほうが拾いやすい傾向です。特化型と総合型を求人数から比較した記事で件数を比べています。
2. 勤務地の条件を外して数えてみる
リモート勤務や在宅可の求人は、勤務地の分類上は本社所在地で登録されていることがあります。地域で絞ると表示されないため、条件を外した状態で募集内容を確認してください。
3. 求人が出た時期を逃さない
1件しかない県では、その1件が埋まると次がいつ出るかわかりません。地方で探す場合は、常時見張るよりエージェント経由で新着の連絡を受け取るほうが現実的です。
求人数が少ない状態で1社だけに登録すると、提示された条件が妥当かどうか判断できません。数を確認したうえで併用を決めてください。
よくある質問
Q. 東京に行かないと社労士として働けませんか?
そうではありません。求人が0件だった26県にも8,929人の社労士が登録しています。ただし、その多くは開業か、転職市場に出てこない形で働いています。求人を通じた転職に限れば、選択肢が東京に偏っているのは事実です。
Q. 地方で年収を上げる方法はありますか?
勤務地を動かさない場合、求人票の下限側からの交渉になります。リモート勤務可の求人であれば、勤務地の相場ではなく本社の相場が適用される場合があるため、募集要項で確認してください。
Q. 求人ボックスの地域別年収はあてになりますか?
傾向をつかむには使えます。ただ、求人件数の少ない都道府県は集計対象外、と明記されているので、県単位の数字は少ない件数から出ていることがあります。求人票の実額と合わせて見てください。
Q. 何件くらいあれば選べる状態ですか?
明確な基準はありませんが、書類選考と面接の通過率を考えると、1桁の件数では比較検討が難しくなります。1件しかない県で探す場合は、複数のサービスを併用する前提で準備してください。
まとめ
- 社労士特化型の求人355件のうち、東京都が235件(66.2%)。上位5都府県で88.5%
- 求人が0件の県は26。そこに社労士8,929人(全国の19.3%)が登録している
- 関東の平均年収441万円は全国平均484万円を下回る。高いのは東京都521万円だけ
都市部が有利、というより、東京都だけが突き抜けている。それが数字の形です。
地方在住の場合、まず自分の県で何件あるかを数えるところから始めてください。件数がわかれば、1社で足りるのか併用が要るのかが決まります。
求人サイト側の中身については、社労士JOBの求人359件を確認した記事で整理しています。
この記事で確認したもの
対象:社労士JOBの公開求人355件の勤務地/都道府県別の登録者数/地域別の年収
時点:2026年8月29日
やったこと:求人を1件ずつ開いて勤務地の記載を拾い、都道府県別に並べ直しました。ページ下部の「関連求人」欄は他ページと重複するため対象外です。登録者数は白書2025年版(2025年3月31日現在)、年収は求人ボックス 給料ナビ(2026年7月算出)です。
書かなかったこと:非公開求人の地域分布。公開されていないため、この記事の件数は公開求人だけの話です。実際にはこれより選択肢が多い地域もあり得ます。
※記事内の数値は2026年8月29日時点で確認したものです。求人件数は社労士JOBの掲載求人を勤務地別に集計しました。会員数は全国社会保険労務士会連合会「社会保険労務士白書 2025年版」第2章(2025年3月31日現在)、年収は求人ボックス 給料ナビ(2026年7月算出)にもとづきます。

